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社会を変えるコラム(4)--ロビイングの技術が学べます!

第5章 ブランディング(担当:明智カイト)

· 社会を変えるコラム

ブランディング

アドボカシーをおこなっていくうえで必要なブランディングとは、自分たちが訴えている社会課題に対して共感や信頼などを高めていくための戦略作りのことを指しています。また、「その分野におけるステータスを上げていく」といった言い方もできます。例えば知名度のあるメディアに取り上げられたり、有力な議員と関係を築いたりといったことも該当します。これからご紹介する内容はあくまでも一例であり、必ずしもここに書いてあるとおりに実践する必要はありません。それぞれのテーマや、タイミングによって工夫してみてください。

■概念を作る

まだその社会課題が浸透していない場合は「こうした課題がある」ということを訴えていくために概念を作る方法があります。たとえば「セクハラ」「アルハラ」「ブラック企業」といった言葉が共有されることで、社会に問題意識が浸透し始め、多くの人が抱えていた不満が可視化されるようになります。メディアによる報道が増えてくると、議会で質問をする議員が出てきたり、関連省庁で取り上げられるようになったりもします。

■白書を作る

そもそもデータがとられていない社会課題も多いため、まずは基礎的な調査を通じて、「個人問題」だと思われていたテーマを「社会問題化」する必要があります。その一つの方法としては様々なNPOに「民間白書をつくること」をお薦めしています。特定分野に関する調査を行い、「社会問題」という形で数値化していきます。「マタハラを受けた経験が〇%」「セクシュアルマイノリティが〇%」といった数字が出たら、報告書をまとめ、プレスリリースを撒き、関連省庁の記者クラブなどで会見を開き、報道を促していきます。また、そうした数字を手に持ち、議員や役所を尋ね、議題として設定してもらいます。

■メディアを持つ

メディアを持つことも重要です。活動家にとって、メディアは名刺となります。書籍やブログなどを通じて、メディアから取材依頼がくることもあります。議員なども、特定の団体に「おすみつき」をもらうことで、票や人気を獲得したいという思惑を持つ人もいれば、単純に問題意識があるゆえに個人的にコンタクトをとりたがる人もいます。NPOをつくることも、その活動内容の意義もさることながら、それ自体が公的な場で「専門家」として発言するためのエントリーシートとなるのです。また、NPO代表などが実績を積み、メディアへの露出などを通じて「固有名詞化」していくことも必要になります。

■委員会・審議会などで委員になる

自治体や省庁などの委員会・審議会などの委員に就任するという方法もあります。その社会課題を扱っている委員会・審議会のメンバーに選ばれるということは「国民(市民)の代表」として扱われることに等しいといえます。その発言は政策の方向性を左右する大きな影響力を持つようになるのです。そのテーマの「専門家」としてメディアから取材やコメントを求められるなど社会に対する発言力も増していくのです。

■議連を作る

議員との関係作りも重要になってきます。たとえば特定の社会問題に関心のある議員を超党派でつなぎながら勉強会を開催します。議員立法につなげるため、足場を固めて準備をしていきます。議連の活動をメディアで取り上げてもらうことで、世論への問題提起にもなっていきます。

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